京町家再生プロジェクト

〜人を想い、暮らしをつくる〜

第7回

べんがら塗・油引きワークショップ

2月21日(土)、弊社主催の「京町家再生プロジェクト~人を想い、暮らしをつくる~」第7回を開催しました。
今回は現地にて外観の「べんがら塗り」と「油引き」のワークショップです。

まずは、塗装を行う前の準備として、塗装箇所以外に付着した砂ぼこりを丁寧に払い落とし、養生テープで保護する作業を行いました。細かな部分の養生は想像以上に難しく、職人の方からアドバイスを受けながら、一つひとつ丁寧に作業を進めました。

続いて、京町家専門大工の髙田氏より、べんがら塗りについて説明いただきました。べんがらは酸化鉄を主原料とした自然由来の塗料で、今回は松煙(松を燃やした煤)を加えて色味を調整し、落ち着いた赤みを帯びた黒色に仕上げました。人体にも環境にも優しく、安心して使用できることも大きな魅力です。

実際の塗装作業では、水分を多く含むべんがらならではの難しさに苦戦する場面もありましたが、学生たちは職人の指導を受けながら丁寧に作業を進め、美しい京町家らしい外観へと仕上げていきました。

京町家では、化学塗料を使用すると木の表面を膜で覆い、木本来の呼吸を妨げてしまうため、建物の劣化につながる恐れがあります。そのため、古くから木材を保護しながら風合いを生かすことができるべんがら塗りが受け継がれてきました。また、地域によって色合いが異なることも、伝統技法ならではの魅力です。

昼休憩中に十分乾燥させた後は、「油引き」の作業を行いました。布や刷毛を使って木材へ丁寧に油を染み込ませることで、余分なべんがらが落ち、木目が美しく浮かび上がります。艶のある上品な仕上がりとなり、京町家本来の美しさをより一層感じることができました。

学生たちにとって、伝統技法を実際に体験しながら、素材や職人の技術に触れる貴重な学びの機会となりました。
ご協力いただいた皆様のおかげで、美しい外観へと生まれ変わりました。建物の完成も間近となり、次回がますます楽しみです。


<番外編> 「町家の日WEEK!」

3月8日(マーチヤ)は「町家の日」。
その前後1週間[今年は3/7~3/15]を「町家の日WEEK!」として、京都を中心に全国各地の町家でさまざまなイベントが開催されました。

3/7(土)には、祇園祭の船鉾を保管する京町家・船鉾町会所(普段は非公開)において、本プロジェクトの特設スペースを設けていただき、制作物の展示や、学生たちと共に発表を行いました。

今まで行ってきた第7回までの取り組みを弊社の担当からご説明させていただき、学生にも感想を交えた発表をしていただきました。
第2回のペルソナ・コンセプト考案について学生から、「建築する上で、具体的にどういう人にどういう目的で住んでもらうのか、という視点を初めて持った」という意見がありました。
京町家の基礎知識から、ペルソナを設定した設計提案、べんがら塗の体験まで、充実した取組とそれを通しての成長の様子が窺われました。

また、同プロジェクトの現場も対象として卒業研究を行った学生から「京町家の改修における古材の利用実態に関する研究ーサーキュラーエコノミーの観点から考える」と題し、京町家の改修において材を廃棄せず如何に循環活用していくのかを、具体的な事例から得られた知見に基づき発表いただきました。

学生に制作いただいた完成予定の建物の模型を展示。屋根を外すと建物内部を見ることができ、細かな部分まで詳細に作り込まれているのが分かります。キッチンなどの設備は3Dプリンターを用いて作られ、実際の建物完成が想像されるような模型となっていました。

想定を上回る多くの皆様にご来場いただき、誠にありがとうございました。弊社の取り組みを多くの方に知っていただけたことを、大変嬉しく思います。この機会を通じて、一人でも多くの方が京町家に興味を持ち、その価値や未来について考えるきっかけになることを願います。